ニャゴめし酒場

田舎のアマチュア写真家のたわごと

石見神楽カレンダー3月の代わりに創作神楽「鏡山」

石見神楽カレンダー3月の演目は鬼反しだったけど、これについては去年の11月に紹介したので今回は浜田の社中で一番好きな団体、後野さんの演目「鏡山」を紹介

カレンダーでも今月は偶然にも後野社中が舞ったバージョンの鬼反しの画像で感慨

昔から伝わる古典の演目は数あれ、その中でも社中に代々伝わる演目やオリジナルも多くある 「校定石見神楽台本」には掲載されてないけど、社中を代表するものや古くからあって定着したもの、これに関しては各社中さんが大切に保持しているものだと思う

で、自分は完全にこっちの方が好き、大好き、古典もいいけどやっぱり創作だねという結論に落ち着く

創作演目に関して多くの人は知らないでしょうが、最近はユーチューブの動画でも見つかるものがあって嬉しい

石見神楽界にも新風が、、創作とか特別講演のようなものは隠しておけるのもじゃない、現代の情報社会ではバレバレになってしまうね

創作神楽は演出がとにかく派手、ストーリー展開にも驚きがある、もしかしたら各社中同士で競ってない?と疑うほど磨かれてて面白さしか感じない

この鏡山も今は自分の中で「No.1」だ、ちょっと前は佐野社中の「有明」が1だったな、これに関しても1か2かの違いだけなのでいつか触れよう

鏡山のストーリーは

浜田藩第6代藩主の奥方に、御付(おつき)の局として仕えていた岩藤は中老(ちゅうろう)の尾上を妬み、配下の諏訪に命じて草履をすり替えさせ、陥れようとする。急用で奥方に召された折、やむなく履いた草履が岩藤のものであったことから、岩藤にきつくとがめられ家名を辱(はずかし)められた尾上は、無念の自害を遂げる。これを知った尾上の召使いお初は、直ちに尾上自害の懐剣(かいけん)で主人の仇を討った。   と石見神楽公式サイトにある

登場人物

お初(松田察)…24歳、尾上の召使いで尾上思い(アレ?この24歳ってどこから出てきた?)

尾上(岡本道女)…岩藤から妬まれている、他人を悪人と思わないような世間知らずなお嬢?

諏訪 …岩藤の召使い、目立たぬ存在で岩藤にいろんなことを告げ口するような性悪女

岩藤(落合沢野)…性格悪いお婆・・後に怨霊と化す   各人の性格は個人的イメージよんっ

 

フルバージョン、47分(出だしは挨拶)

浜田藩に努める女4人が順に出てきて舞っていろいろあって問題発覚、、女ってやつは面倒なことを引き起こす生き物ってこと

岩藤が自分の草履を勝手に使ったことに腹を立て尾上を敵対視する

舞い(回り)ながら岩藤の表情が険しくなり、召使の諏訪でさえも恐怖を感じおののく…ここの面の早変わりはどうなってるんだ!?

とやってる間に白装束姿になった尾上が自害する覚悟で再度登場

すぐ代わって敵(かたき)を討つ気満々のお初に、形相が変わった岩藤が出てくるもあえなく刺殺される

怨霊となった岩藤が傘に隠れながら再登場するが、武闘の衣装チェンジしたお初に息の根を止められそう・・・!

瞬間に人間の姿に戻った岩藤、、ここらでちょっと泣いてしまう、見てる方がいろんな意味が重なり切なくて、この演目は奥が深いって、、気づかされる

最後はお初の勝利の舞いで終結、、、長い内容だったけど面白かったね、動画が物語る

舞っているのは全部男性、石見神楽は笛以外女人禁制よ、一部チャンガラ(銅拍子)は女児ならOK

オッサン以外のスタッフには嫁とかおかんとかおばちゃんが出入りしてたりすることも

 

サビをまとめた(音楽じゃないのにね)短いバージョン⇩

岩藤が鬼となり怨霊になって出てきて、お初が懐剣で尾上の敵(かたき)を討って最後の勝利の舞いまでのカット

これがこの演目の一番の見どころだな、これも良いとこ取りでいいけど、でもフルバージョンのほうが見ごたえあるわな

先に言っちゃうけど、鬼から人間に戻る面の早変わりがこの演目の魅力、スゲエ早さ

現代の狂気じみた悪人から真の善人に生まれ変わるみたいな要素が垣間見え、そこが何だかもの悲しさを誘い『人とは・・・』ということを考えてしまう強い印象がある

 

ちなみに「校定石見神楽台本」についてはここで入手できる、貴重です

細かい解説付きでカラーページはほぼなし、っていうかセリフや所作が主に記載されてるのでこれを基に舞われるんだろうなと納得、神楽を鑑賞するうえで自分も持ってます

セリフで何を言ってるのか、その意味は何なのかが丸わかり